ドリームボート・アニー

  ①基本情報

１）タイトル DREAMBOAT ANNIE（ドリームボート・アニー）
２）プロデューサー マイク・フリッカー
３）リリース年　　 1975年
４）セールス順位　 全米7位

  ②曲目

１）マジック・マン
２）ドリームボート・アニー(ファンタジー・チェイルド)
３）クレイジー・オン・ユー
４）ソウル・オブ・ザ・シー
５）ドリームボート・アニー
６）ホワイト・ライトニング・アンド・ワイン
７）(ラヴ・ミー・ライク・ミュージック)アイル・ビー・ユア・ソング
８）シング・チャイルド
９）ハウ・ディープ・イット・ゴウズ
１０）ドリームボート・アニー（リプライズ)

  ③アルバム全体的な事

このデビュー・アルバム「ドリームボート・アニー｣は今後半世紀近いキャリアのハートにとってまさに「ハートの原点」です。
ハートの原点とは一体なんであろうか？
ハートのサウンドとしてまず思い浮かぶのが、80年代後半の華やかなポップロック。
次に「女ゼップ」と称されるようなハードロックというイメージを持たれるかたが多いと思いますが、実はアコースティック・バラード　　　　こそハートの原点です。

美人姉妹がメインのバンドならではのメロディアスで洗練されたサウンド。
その点は全期にわたった特徴でもあります。デビュー時からハートのサウンドはメロディアスで洗練されていました。
ロックナンバーは、今聴くと多少古臭さ、荒削りさを感じますが、バラードナンバーは40年以上たった今でも古さがなく、逆に「ウイルソ　ン姉妹のみずみずしい感性」を感じさせます。
どのバラードを聴いても詩的でロマンティック、メルヘンチックで心が洗われます。

また、アルバムとしても、ドリーム・ボート・アニーを３部作にするなどコンセプトが感じられ、海辺の波の音がところどころで使用されていて、「夕暮れの海辺」「美人姉妹の舟出」がテーマになっています。

バラードナンバーとロックナンバーも上手く交互に配曲され、アルバムをとおして聴いても飽きずに、全曲聴き通せます。
80年代のハートは曲で聴かせるバンドでありましたが、70年代のハートはアルバムで聴かせるバンドであったことを伺わせます。

そのほかにも、フルートやストリングスを駆使するなどオリジナリティがあり、新人バンドのそれとは思えないほど完成度が高いです。
また、歌詞もきれいで、ウイルソン姉妹は詩人としてもなかなかであったと思います。

  ④曲紹介

　１）マジック・マン
この曲はハートにとって初のヒット曲です。
80年代後半のハートのサウンドとはまったく異なっていますが、オリジナリティーがあり、今聞いてもデビュー当時から、かなりのテク　ニックをもったバンドであったことを感じさせます

特に中盤のスペイシーな展開とロジャー・フィッシャーのギター・ソロが、印象的で変則的でギミカルでなかなかのテクニシャンであっ　たことがうかがわせます。
また当時の音楽的なリーダーはロジャーで、ウィルソン姉妹は「看板娘」という位置づけでありました。チャートは全米９位にランクイ　ンしました。

　２）ドリームボート・アニー(ファンタジー・チェイルド)
ドリームボート・アニーは初期のハートを代表するバラードで、詩的で叙情的な曲です。
ウイルソン姉妹のあらたな旅立ちを歌った曲です。なおこの曲は当アルバムの中で三部構成になっていて、これはパート1です。
ナンシーのアコースティックギターが印象的な曲です。

　３）クレイジー・オン・ユー
ナンシーのアコースティック・ギターのイントロがかっこいい！
アンのヴォーカルもパンチが効いていて、曲の盛り上がりかたもＧＯＯＤ！
オリジナリティにあふれていて、いかにも初期のハートって感じの曲です。ちなみにチャートは全米35位です。

　４）ソウル・オブ・ザ・シー
ナンシーの12弦アコースティックやストリングスを駆使したファンタスティックなバラード。プログレ的な趣も感じさます。

　５）ドリームボート・アニー
ドリームボート・アニーのパート２で、このヴァージョンが本曲となっています。
ウイルソン姉妹のコーラスが魅力的。チャートは全米43位。

　６）ホワイト・ライトニング・アンド・ワイン
ストレートなロックナンバーです。

　７）(ラヴ・ミー・ライク・ミュージック)アイル・ビー・ユア・ソング
ロジャー・フィッシャーのラップ・スティール・ギターが印象的な美しいバラード。
ハートならではのマイルドな味わいが心地よいです。

　８）シング・チャイルド
レッド・ツェッペリンの影響を感じさせるブルージーなロックナンバー。
その中でもコーラスの使い方やフルートが挿入されている所などにハート独自の繊細さ、ユニークさを感じます。
アンのヴォーカルもかっこいい！

　９）ドリームボート・アニー（リプライズ)
ドリームボート・アニーのパート３ということで、エンディングにふさわしい仕上がりとなっています。